馬越康彦の日記

思いついたときに記事を更新

母、すい臓がんになる

去る5月31日のCT画像検査の結果、母がすい臓がんのステージ4であることが判明。現在抗がん剤治療をしている。

3月中旬位から、夕食時お酒を飲んでいるときに「背中が痛い」と言い出し、私がPCで「飲酒 背中が痛い」とググると、慢性膵炎もしくは急性膵炎の可能性ありと書かれていたので、その旨を書面にして母に持たせ、かかりつけ医に受診させたのだが、母が書面を渡し忘れ、医師曰く「背中や腹の痛みは肋間神経痛でしょう」ということになり、痛み止めとしてロキソニンを処方されて帰ってきた。

結局さらに一か月後に母の体重が4kgも減ってしまったので、これはいくらなんでもおかしいと思ったかかりつけ医が胃カメラとエコー検査を他の医療機関で受診させてのすい臓がん末期という結果判明であった。

 

二年半前に父を亡くしての今回の母の病に当初驚いたが、すべての生命が親しい生命に執着し、その死に際して嘆き悲しむように嵌められているのだとわかると、2,3日で悲しみは癒えた。生じたものが滅するのは当然と開き直り、次に母が生まれ変わる世界がより良いものになるようにと気持ちを切り替えた。母の身体はどんどん壊れていっているのだが、その分、母の心は次の転生先の天界に着々と足場を組み始めている。そう思うようにした。また実際そうし始めた。そうしたら悲しみは癒えた。

 

二年半前に父が亡くなるときは、ERで手術台に向かう父に、「心を清らかにするように」としかアドバイスできず、輪廻転生していく父に、何の手助けにもならなかったことから、父の葬式を済ませた後、伴侶との思い出を懐かしんで泣き暮れている母に、「これではいかん」とテーラワーダ仏教(具体的には慈悲の瞑想や、無常・苦・無我の三相に関する智慧の開発)を伝え始めた。母はあと十年は生きるだろうと思っていたのだが、今になってみると、この時から母の心を鍛えておいてよかったと思う。

 

アマゾンプライムビデオでスマナサーラ長老の法話が見られるようになってからは、「死に方入門」とか「からだのトリセツ」とかを見せて、時には長老の日本語を私が日本語に同時通訳して母の理解を高めるように計った。82歳という年齢なので「平均には(日本人女性の平均寿命には)足りなかったが十分生き切った」とある程度死に対しては諦めがつき、執着が薄くなった。今も毎日慈悲の瞑想は欠かさず唱えるようにしてもらっている。

 

日本テーラワーダ仏教協会とヤサ長老には大変お世話になった。私がメールで協会事務局に「母が死にそうなので預流果に悟らせてあげたいが、どうすればいいのか。スマナサーラ長老の説法で覚えているものを私が母にすべて語って聞かせているがそれでいいのか?」と問い合わせたところ、事務局の佐藤さんからヤサ長老のお答えだとして受け取ったメールには「詰め込まないでください。慈悲の瞑想を唱えていただくだけで十分です」とあって、自分が焦っていたことを思い知らされた。

メールを印刷して母に見せたらえらく感銘を受けたようで、協会に少額ではあるがお布施させることにも成功した。母には2回布施させた。

 

その他、パティパダー巻頭法話に天界に生まれ変わる条件として、1.嘘をつかないこと、2.怒らないこと、3.他人を助けること・協力すること とあったので、母にはこの三つを守ってもらっている。*1

 

*1

j-theravada.net

 

そうこうして一か月と少しが経つのだが、表情がずいぶん和らいで、周囲には「ありがとう、ありがとう」と常に人をいたわる気持ちが定着した。ここまで来てようやく少し私も安堵している。

 

母に関しては自宅で看取ることに決めた。近くにケアタウン小平クリニックという緩和ケアの大御所のような山崎章郎(やまざきふみお)先生がいらして下さる施設があるので、ホスピスではなく安心して自宅で介護することに決めた。

 

親の介護は私にはとても幸せなことである。マザー・テレサとまではいかないが、親の身体の介護をして心を可能な限り成長させてあげていると、ものすごく幸せな気分になり、疲れが吹き飛ぶ。善心所で行動すると快感で癖になってしまう。更にいいこと更にいいことをしようというエネルギーで充たされる。一生いいことをして終わりそうな気がする。

 

この日記は随時記していこうと思う。

 

2019.7.11 すい臓がんの闘病記で役立つと思われるブログのリンクを貼っておきます。
      たぶん、看護師さんのつけた日記と思われます。データがあるので、そして

     論理的なのでとても私には役立ちます。      

 

blogs.yahoo.co.jp

 

マハーシ・サヤドーの1960年代後半の貴重な8ミリフィルムyou tubeであがっているのでそれもリンクを貼っておきます。

多くの方々が歩く瞑想をしておられます。マハーシ・サヤドーも座る瞑想や歩く瞑想をしてらっしゃいます。

 

www.youtube.com

 

偉大なるマハーシ・サヤドー。なんと聡明な顔立ちをされていたことか。
スマナサーラ長老を中野ゼロホールで間近に見た時も、あまりの聡明さゆえに

感動したが、マハーシ・サヤドーもフィルムを通して、完成された智慧が伝わってくる。阿羅漢と同じ時代を生きられてこれ以上の幸福はない。