馬越康彦の日記

思いついたときに記事を更新

母すい臓がんになる③

昨日(2019.8.31)で、すい臓がんステージ4(肺・肝臓・リンパ節転移あり)を告げられてから丸三か月が経過した。

抗がん剤(TS-1)が効いているのか、庭の草むしりはするし、うどんやそばなどののど越しの良い麺類しか食べなかったのに、今では肉やウナギなども食べられるようになってすこぶる調子がよさそうである。

最初は暑い夏に葬式を上げることになるだろうと思っていたのに、このまま調子が良ければ母の83歳の誕生日(11月22日)まで行けるのかなと思ったりもする。

もっとも末期がんはいきなり調子が悪くなって最期を迎えることを知っているから覚悟だけはしている(それも一番質の悪いすい臓がんだし)。

寝る前に慈悲の瞑想のフルバージョンの気に入った節を読んでもらい、夕食前には普通の慈悲の瞑想を二人で唱和している。

初めのうちは森永クリミールなどを飲んでもらっていたのだが、最近は明治のメイプロテインをひとさじ朝のコーヒーに入れているだけである。

9月3日(火)には、すい臓がんの腫瘍マーカーの値もわかるので、TS-1の効果があったのか少しはわかりそうである。

 

私の方は介護でほとんど手一杯の状態である。庭の水やり・ゴミ出し・掃除・洗濯・炊事・投薬管理などで一日が終わってしまう。

瞑想の時間は取れないが、寝ている時間を除いてサティの実践に努めている。座る瞑想をしているときに心を止めることができたが、瞑想をしているときだけでなく心を完全停止させてしまいたい。

思考が邪魔で邪魔で仕方がないからである。心が心のエネルギーで自己回転するのがものすごく嫌な状況である。心が勝手に自己回転し続けるのは、チェータナー(意志)という、共一切心心所が働いているからである。この意志(チェータナー)は善でも悪でもない。一緒に溶ける他の心所によって、心は善にも悪にも染まる。心所については、すべて「ブッダの実践心理学 第3巻 心所(心の中身)の分析」で扱われている。ここでは、ネットでアクセスできる日本テーラワーダ仏教協会のサイトよりチェータナーについて引用する。これが回転し続ける元凶なのである。これを止めれば、心は止まる。

 

 

“心には常に「心がひとつ回転したら、次の回転をせざるを得ない」というポテンシャルエネルギーのようなものが生まれています。たとえば手を上げると、そのまま上げ続けるか、止めるか、下げるか、何かをするのです。どれをするにしても、そこには「~しよう」という意志がはたらいています。人はいつでも何かをしたい。「きれいに止まりたい」という気持ちはありません。

心所としてのチェータナーは基本的で根本的なわずかなエネルギーです。けれどもチェータナーはすべての心にはたらくのですから、巨大なエネルギーだと見た方がいいのです。ヴェーダナーやサンニャーも同じことで、私たちはずっと共一切心所のはたらきの中で生きているのだから、これらはかなり大きなエネルギーなのです。”

j-theravada.net

 

「私」がないとわかったら、次々に煩悩を滅して輪廻転生する原因の渇愛を滅ぼさねばならない。あるいは執着を消しても輪廻転生は終わる。無明をなくしても輪廻転生は終わる。修行実践者はどれを滅しても解脱できます。原因がなくなれば結果はなくなります。因果法則を知っている人は原因を除き去ります。

 

 

“ 完全に、阿羅漢に悟るまでは、それからまた、さらにがんばらなければなりません。 なぜなら、今はまだ「私」という心があるからです。「私」という自我の心があるなら、次にまた心が現れるでしょう。それで、次のステップである瞑想というものが見えてくるの です。「分かったぞ。もう困る必要は何もない。私はない」と体験したのですけど、それでも、今ここに現象があって、その現象は次の現象を作るのだから、それはどうしようもないのです。それで、「なんで次の現象を作るのか」と、そこを研究する。それは心の問題ですから、それで残りの煩悩をいろいろ順番に削っていくのです。そして、もし阿羅漢にまで悟るなら、「始めはないのだけど、終わりはある」ということを理解するのです。それはもう、悟る人だけの話です。お釈迦様は、「原因を根元から捨てれば、終わります」とおっしゃっています。だから因果法則は大事な話で、結局仏教は、全部、因果法則の話なのです。”

 

アルボムッレ・スマナサーラ. ブッダの実践心理学〈第5巻〉業(カルマ)と輪廻の分析 アビダンマ講義シリーズ (Kindle の位置No.1515-1516). samgha. Kindle 版.より)

 

 

 

季節の変わり目なので、皆様も夏バテには注意してください。