馬越康彦の日記

思いついたときに記事を更新

脳のつくりだす幻覚 → 霊はいないと私も考える

このブログでも何度も取り上げた、マーラ(他化自在天の神・ワサワッティ)か悪霊か、はたまた心がつくりだした幻覚か、とにかく映画「エクソシスト」並みの怪現象(霊障とよばせてもらった)に悩まされた一年間であったが、ここ広島県福山市の現住所にてようやく終わりを迎えそうである。

 

結論から言えば、脳のつくりだした幻覚であった。といえば、簡単にきこえるが、ここに至るまでの苦労が並大抵ではなかった。

日本テーラワーダ仏教協会のヤサ長老・スマナサーラ長老・誓教寺の藤本晃住職・協会会員で私の師匠である I 氏・コメントをいただく「ごんた」氏をはじめ諸兄の皆様のおかげです。ここにあらためて謝意を表したい。

 

スマ長老から、こころがつくっているんですよと言われ、わかったつもりになっても、どったんばったんという床を踏み鳴らす音や、玄関に人が集まる声など、それはもう、もろもろの、語るも恐ろしい霊障の数々がやまらないので、「こころじゃないんじゃないか、やはり悪霊はいるんじゃないか?」とか、「悪霊でもないとしたら、本当にマーラの仕業じゃないか?」とか、どうしても疑いが消え去らず、ついには9月に入って東京まで除霊に行き、15万円もはたいてしまったが、それでも全然効果がなく、毎日暗い気持ちで、近くの芦田川を散策していた。

 

霊と思しきものとはこころの中で会話できるのだが、その言動は自分のこころがつくり出しているとは到底思えず、自分の心身の外部に存在する第三者的存在という、思い込みとも確信ともつかぬ思いにとらわれて、音がするとこちらもハンマーで壁を叩いたり、竹刀や木刀を用意したりと、ちょっと間違えば、借家を追い出されて、永遠に住むところを失いかねない状況であった。

 

観察と、観察にもとづく疑問が、結果的にこの怪現象を終わらせた。どうしてこちらの心が読めるのだろう、これ以上速いものはない心のスピードに、なぜ霊は付いてこられるのだろう?、釈尊が五道の区分けをしているのに、餓鬼でもない霊というもう一つの世界を設けるべきなのだろうか、そんなはずはない、こんなマーラを凌ぐ狂暴な悪霊がいるのなら、釈尊がその存在を話していないはずはない、こうしていろいろな疑問が頭の中を巡った挙句、スマ長老の”「わたし」とは何ですかーー争い続ける無数の「わたし」を乗り越える道”をyou tubeで久しぶりに見て、ようやく心所の問題にたどりつき、あげくは心所ですらない、単なる脳のつくり出す幻覚 という結論に至って、終わったのである。

 

普通にはわからないかもしれない。この奇怪な現象を脳がいったんつくりだしたら、殺されるかもしれない。現に自分も東京での除霊から帰ってきて、I氏に「諦めて自殺しようと考えている」と話し、睡眠薬を大量に用意したほどである。

 

自分が原因であるとか自分に原因があるとは思えないので、この問題はほぼ解決不能である。納得しないと霊障はまず消えない。心だとわかっても、すぐには消えてくれないので、心だという自分の結論に自信が持てなくなって不安になり、また霊障に襲われ、除霊やお祓いに救いの手を求める。ずっとこの繰り返しで、散財して、狂って一生を終えてしまう。

 

テーラワーダ仏教徒であり、多少は理性的であると自負し、日本の仏教を相手にもしていない自分が、浄土真宗真言密教のお祓いに救いを求め、ん十万もつぎこみ、自殺まで口にするくらいなので、特にスマナサーラ長老の話などがないと、まず正解にはたどり着くまいと思われる。それほど心の問題は難しく、また本人にとっては実際に体験することなので、現象をつくりだしているのが自分の心であるとは気づかない。

それほどひどいことを心は自分に仕掛けてきます。自分の心がそんなことをするとは思えないし、「こいつ〇〇だぜ」とか、はっきり第三者の敵が自分を責めているとしか思えないので、勝てない。

 

せいぜい統合失調症ということで、ベンゾジアゼピン系の精神安定剤を飲みながら、一生問題を抱えながら仕事を続けていく人も、いっぱいいます。

 

霊障と信じて疑わない人は、次のことを実行してみてください。

 

1.音がしたり、何かが見えるという場合は、ボイスレコーダーやビデオカメラを回してみてください。実際には何も映っていませんし、何も録音されていません。

その姿や音は、確かに見えるし聴こえるのですが、それは記録できません。あなたの頭の中でのみ、有効な現象なのです。他人には見えもせず、聞こえもしません。

 

2.あなたの考えていることを読み取られていませんか?まるで「さとり=悟り」という妖怪でも相手にしているように、こちらの考えが筒抜けではありませんか?マーラですら修行者が何を考えているのかは、こちらに偈を持って問いかけないとわからないのに、そいつはどうやってあなたの考えていることが分かるのでしょうか?

それは、あなたの心があなたの敵になっているからです。だから相手はあなたのことを何でも知っています。こんなことまで?と思われることまで知っています。閻魔大王もかなわない最大の審判者なのです。期待しても、許してくれませんよ。

 

3.どんなに恨み深い人間でも、どんなにあなたを嫌って怒っている人でも、あるいは霊でも悪魔でも、24時間あなたを観察し、排せつや入浴まで見張り、性行為まで見張り、あなたを嘲笑し、脅してくるほど暇な存在は、絶対にありえません。

悟る前のお釈迦様に、マーラは7年間付きまとっていましたが、それでも7年です。一生あなたに恨みつらみをいだくものは、霊にも悪魔にもいません。変わらないのは、それがあなたの心が相手であるという決定的な証拠です。

 

これらのいずれかに該当する場合は、心を疑ってください。心といえば自分のよく知るもの、自分の親しい者のような気がしますが、はっきり言って、まるっきり別の第三者です。第三者でなければこんなことしてこないと信じ込むほど、心はあなたの敵になります。こうなると、心はマーラより恐ろしく、手ごわい相手になります。

 

私も一旦は和解を図って、「マーラ様、ワサワッティ様」などと、相手を懐柔しようとしましたが、心はあなたの友達にはなってくれません。「こいつ、絶対ゆるさねえ」といって、あなたを殺しにかかります。手に負えません。

どんなお祓いも役に立ちません。