馬越康彦の日記

思いついたときに記事を更新

すべて起こるべきことが起きている。だから安心で、何の期待も希望もない

因果法則についての勉強を、スマ長老の本、DVD,そして何よりも瞑想を通じて深めた結果、今起きていることは、起きるべきことが起きているとわかり、爾来、現実に対して何の不満も、期待も、希望も無くなり、気づきをできるだけすべての行動に広げ、不放逸に励み、期待はないが自分にできることは力を尽くして、因=条件を整えることに努めている。

 

私が就職したのは今より30年前、金融自由化が本格的になり、国際金融都市”東京”の実現を旗印に、護送船団方式が見直され、地価も株価も高騰し、1,000万円の預金が2口もあれば、MMCやFRCなどの預金商品の利息で、食べていけるような時代であった。

 

が、数年でバブルは弾け、その後リセッションが長らく続くことになった。私が就職する頃は、経済学者でいえば大前研一氏が売れていて、各経済誌の巻頭を飾っていた時である。為替相場の動きが大きくて、少ないロットで大きな儲け(為替差益)が出ていた頃だと思う。

 

田原総一郎氏が司会を務めるテレビ朝日の「朝まで生テレビ」が人気で、時代を代表する経済学者や政治学者、評論家などの論客が様々な意匠を纏って、朝まで喧々諤々、「この人すごい、かっこいい!」とか、「へぇ~、そういう考えがあるのか」などと一躍お茶の間の皆さんの憧れの的となって、翌土曜日の休みを前に、私も徹夜で見ていたクチであるが、なんだかこういう方々と優秀な官僚の皆さんがいれば、バブルは終わったが、明るい未来が待っているように思えた。

 

しかるに、彼らはメンバーを入れ替え組み替えながら、30年論じた挙句、今日の経済も政治も、当時と比較にならないほど落ち込み、民主主義を維持することすら難しくなっている。

 

この30年間も起きるべきことが起きてきた。ちゃんと原因があって結果が生じ、因果法則通りに現象世界は成立してきた。が、因果法則のわからない人(普通はわからないのだが)は、これ(現象世界)はひどい現実である、我々は「希望の党」を立ち上げようではないか!、なんてことになったわけだが、それ(希望)はもちろん因果法則がわからないから生じる考え方なのである。

 

スマ長老の下で、ティッシュペーパーを使って、正確に何枚も折り紙(鶴)を作っていた人はわかるだろうが、どれだけ正確に鶴を折り込もうとしても、ティッシュペーパー一枚ごとの紙の形状や化学繊維の癖、折る人の指をコントロールする意志の強弱、室温湿度など様々な条件によって、実際に出来上がる折り紙は、一枚一枚すべて異なる。しかし、その一枚一枚は、ちゃんと紙の性質や、指の動き、温度や湿度など無数の原因があらゆる条件下で結果したもの、すなわち因果法則通りにぴったり出来上がったものなのである。

 

これでわかるように、この30年の歴史も、それは決して期待外れでも予想を裏切ったものでもなく、その時その時の原因により当然生じた結果であり、魔訶不思議でも何でもない。起きるべきことが起きただけである。起こるべきことが起きている、何の不思議もないと本当に理解し得た時、現象世界の謎は解け、もうそこに期待や希望を抱くことはなく、燃え盛る山火事の消えた後のように、心は安定して落ち着く。生じた結果はただ受け止め、「では何ができるのか、どうしましょうか」と、次に生じる結果に対し、正しい因と縁をつくることに専念する。

 

しかして、あの生テレビの討論とは何だったのだろうか?あるいは現在とりくんでいる政策とかは、本当に将来、「実になるもの」なのだろうか?

 

釈尊も将来を予測することはなかった。現実は無数の因と果により織り込まれていくもので、因のひとつがわずかに変わっても、将来はどうなるか予測できない。だから予測は成り立たないのである。生テレビのあの討論も、それが因となって、30年後の現在、日本はこの程度の被害ですんでいるのか、あるいはまったく関係なかったのか、それとも被害をひどくしたのか、はよく分からない。

 

因果法則の世界では瞬間瞬間、起きるべきことが起きていて、それが分かる人の心は安らいでいて、その人は何の期待も希望も抱かず、淡々と現実を受け止める。

 

ただ努力は怠らない。不放逸に、よい因となるように励んで、結果は結果で、淡々と受け止める、そういう生活になるのである。

 

因縁のセオリー を発見する(以下アルボムッレ・スマナサーラ. 日本人が知らないブッダの話 ― お釈迦さまの生涯の意外な真相 (スマナサーラ長老クラシックス)より抜粋)

 

  修行を成功させて心が解脱に達する過程を、律蔵『大品』のなかで、お釈迦様がこの ように偈で唱えています。

 

「修行に励むバラモンに、現象があらわになる。そのとき、現象は原因により生じる

ものだと知る。一切の疑いが消え去る。

 

  修行に励む バラモン に、現象があらわになる。そのとき、現象の原因は滅するもの だと知る。一切の疑いが消え去る。

 

 修行に励む バラモン に、現象があらわになる。そのとき、魔 の軍勢を 打ち破り、   太陽のごとく、空に輝く」

 (Kindle の位置No.1209-1212). Evolving. Kindle 版.