馬越康彦の日記

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人口減少と地方都市の衰退

たとえば人口15万人の地方都市に、イオンモールが2店舗、プロのサッカークラブがあり、サッカースタジアムが1つ、城があり、港近くに商店街があり、飲み屋街、大型電気店、大型郊外ドラッグストアー、公衆浴場、都市銀行1店舗、地方銀行2店舗、信金とJAが1店舗ずつ、そのほかに郵便局がいくつかあり、コンビニも駅前通りだけで3~4店、歯科医、内科医、病院が多数開いており、学習塾も3~4あるとしたら、この人口とこの規模の店舗や病院の数はバランスがとれているといえるだろうか?

 

この街は港湾都市で造船所があり、タオルの生産で有名であるが、近年、企業活動がふるわず、それほど劇的な法人税収の増加が見込めないとしたら・・・。

 

人口15万は東京でいえば、国分寺市より多いが小平市よりは少ない。私は両市に住んでいたことがあるが、城はもちろん、自前のプロサッカークラブやスタジアムはない。イオンモールなどは西東京市(昔の田無市保谷市)や武蔵村山市へ行かなければない。

かわりにイトーヨーカ堂などがあるが、商いは苦戦している。

 

この街として紹介したのは、私が4月下旬から8月下旬までを過ごした愛媛県今治市である。

 

今治に来て驚いたのは城があり、立派な市役所があり、医療機関や金融機関がきら星のごとく営業していることだ。イオンモールは2店舗あるが、ちょっと前は、高島屋、大丸、ニチイ、ダイエーなどの大型店舗が軒を連ねていたというのだから驚きである。

 

その当時の人口は18万人、今年の国勢調査の結果は15万人プラス6名で、すぐに15万人を割る勢いで人口が減少している。寝ても覚めても減っていく現状に変わりはない。

 

15万人の市民が落とすお金で、これだけの規模の市内の各種施設が立ち行くのだろうか(潤うのだろうか)?東京都内の多摩の場合は、それぞれの自治体の面積が小さく(人口密度が高く)、自前でイオンモールをもたなくても、いくつかの市と市民で支えているという側面がある。今治も往時は近隣他市や島しょ部から買い物客が来ていたようであるが、しまなみ海道ができてから、不思議に人々の通過点になってしまい、集客がままならないようである。

 

15万の今治市民の消費と、しまなみ海道をサイクリングで利用する観光客の消費では、需給のバランスを欠いていると思われる。ドンドビ商店街はシャッター街になって久しく、駅前の舗装道路は、いつコンクリが剥がれていくか、すぐ修補できるのか疑問である。施設が消えていけば、そこで買い物ができなくなり、勤め人が去るので、さらに人口衰退が加速していく。人口とそれに見合った施設存在の両者のバランスがとれるまで、衰退は収束しないかもしれない。

 

人口によって、存続できる商店や商業施設の規模が規定され、人口15万人ならお城はあきらめましょうとか、高校をひとつ減らしましょうとか、逆に現状の施設・病院などをすべて保持するためには、人口を2倍、いや2.5倍に即座に引き上げねばならないとか、計算できてしまうところが逆にこわい。

 

これはとても恐ろしいことで、施設の数を減らすと人口が減り、人がいなくなるとさらに施設の数が減るという悪循環が終わらない。これが今後、日本各地で起こるとすれば、子どもの減少というのは、こんなにも恐ろしいことかと暗澹たる思いである。

 

今まで東京で生まれ育ったのでわからないことが地方で進行している。アニメではないが、大地が腐海に覆われ住めない土地がひろがっていくように、建物が置き去りにされ、人の姿が消えるという事が現実におきている。